全州・南部市場と青年モール|温かな一杯から、二階の小さな店へ

Shamus7792003 · 原本 · CC BY-SA 4.0 ·
全州で韓屋の街並みを歩いた後は、南部市場(ナンブシジャン/남부시장)へ食事に出かけよう。アーケードの下には食堂と日用品の店が並び、二階へ上がれば、小さな店が集まる青年モール(청년몰)へ続く。一つの市場で、地元の買い物と旅先の店探しをどちらも楽しめる。 南部市場は、全州の人々の暮らしを支えてきた伝統市場。食事だけを目当てに訪ねても、途中で器や台所道具、食材の店が目に入る。何を買うかを細かく決めず、店先に並ぶものを眺める時間も取ってみたい。観光名所とは違う、日常の全州が感じられる。 訪ねる時間は、見たいものから決めよう。常設店で買い物をする昼、青年モールの店を訪ねる午後、屋台が並ぶ夜市では、楽しみ方が変わる。食堂、二階の店、夜市が同じ時刻に営業するわけではないので、気になる店と催しを一つずつ確認しておくとよい。 韓屋村の西側からなら、殿洞聖堂や慶基殿周辺と組み合わせやすい。一方、全州駅やバスターミナルからは市内交通を利用する。到着先を南部市場か豊南門にして、周辺へ着いてから徒歩で回る流れがわかりやすい。
豊南門を目印に、アーケードの中へ

Minseong Kim · 原本 · CC BY-SA 4.0 ·
東門入口の写真は2024年8月のものです。市場の看板やアーケードは方向をつかむ参考にし、写る各店の現在の営業・メニューを保証する資料とは考えないでください。 市場のそばに立つ豊南門(プンナムムン/풍남문)は、かつての全州の城の南門。高い石の基壇にアーチが開き、その上に木造の楼閣が重なる。市場が城門の外に育ってきた場所だと知ると、門と店の並ぶ町が、一つの風景として見えてくる。 まず全体を見渡せる場所から屋根と石の形を眺め、次に市場へ向かおう。門の周囲は車が通るため、横断歩道を使って歩く。同行者と別々に店を見る場合は、「市場の入口」だけでなく、入口の名前や看板を決めておくと後で落ち合いやすい。 市場に入ったら、大きな通路を一度歩いてみる。食堂の場所と二階へ上がる案内を確かめながら、籠や木の器、料理に使う道具の店をのぞいてみよう。旅先で買うには大きすぎる道具でも、形や用途を見ていると、地元の台所を想像する楽しさがある。 食材や器を買うなら、この後の行程も考えて選びたい。重い物や温度管理が必要な物は帰る前に、すぐ食べたい物は散歩の途中に。買い物の順番を少し変えるだけで、韓屋村や青年モールまで身軽に歩ける。 豊南門は1767年の火災で焼失し、その後に再建された門。全州市の案内は再建を1768年としている。上部の木造楼閣では、下層の柱がそのまま上層へ通る構造が特徴だ。外から見える二重の屋根を、二つの小さな建物を単に積み上げたものとして捉えるより、柱で上下をつないだ一つの楼として見ると分かりやすい。 門の名の「豊」は、漢を建てた高祖の故郷に関わる豊沛を踏まえたもの。朝鮮王朝の発祥の地として全州を重ね、「豊沛の南」という名が付いた。豊南門は市場へ入る目印であると同時に、王朝との結び付きを町の名前に表す建築でもある。近くの韓屋村や慶基殿を訪ねた後なら、城門の呼び名にも歴史のつながりが見えてくる。
ピスンデとクッパ、食べたい一皿を選ぶ

南部市場で試したい料理の一つが、ピスンデ(피순대)。豚の血に野菜や肉などを合わせ、腸に詰めた料理で、濃厚な味とやわらかな中身が特徴だ。春雨を多く使うスンデに慣れている人にも、違った食感を楽しめる。 切り分けて皿に盛るピスンデと、汁とご飯を合わせるスンデクッパでは、食事の組み立て方が変わる。数人で一皿を分けるのか、一人ずつ温かいクッパを食べるのかを決めて、量を尋ねよう。最初にそのまま味を見てから、添えられたニラやたれを加えると、自分の好みを探しやすい。 全州ではニラを「ソル」と呼ぶこともある。店で聞き慣れない言葉が出てきても、皿を見ながら確かめればよい。酸味のあるたれなど、用意された薬味の組み合わせも、この土地の食べ方に触れる楽しみになる。 もう一つの候補は、もやしのクッパ、コンナムルクッパ(콩나물국밥)。全州市の市場紹介では、ご飯ともやしに熱いだしを通す南部市場式のつくり方が紹介されている。海苔や卵を添える食べ方もあり、店で出された組み合わせを楽しみたい。 血や豚肉を食べない人は注文前に具材を尋ねよう。もやしの料理でも、だしや付け合わせに動物性の材料を使う場合がある。夜市で何種類か食べたい日は、昼食の量を少し控えるなど、次の楽しみに合わせて注文するとよい。
二階の青年モールでは、気になった店で足を止める
青年モールは、市場の二階にある小さな商店の集まり。上がる方向の表示をたどると、一階の買い物通路とは違う、店ごとの色や看板が目に入る空間へ移る。雑貨、書籍、食事など、興味のある分野を手がかりに見て回ろう。 短時間で通り抜けるより、気になった店を一つ選んでのぞくのが楽しい。棚に置かれた物の形を眺めたり、店の人に使い方を聞いたりすると、買い物そのものが旅の時間になる。内装や商品を撮影したいときは一声かけ、割れやすい品を選んだら持ち帰り用の包装も相談したい。 小さな店がそれぞれ営業する場所なので、訪ねたい店の営業日は個別に確認しよう。昔の紹介記事にある店名やメニューも、出発前に現行の案内へ照らしておくとよい。その日に開いている店を巡る楽しみも残しておけば、予定を詰めすぎずに過ごせる。 川側のハヌル庭園へ出られるときは、外の空気を吸ってひと休み。屋上の開放的な場所から川辺へ目線を移すと、市場の密な通路とは違う眺めになる。暑さや雨に合わせて休む場所を選ぼう。階段での移動が難しい場合は、現地で使える経路を尋ね、一階の食事や買い物を中心に回る方法もある。 青年モールができた場所は、もともと二階で倉庫として使われ、その後活用されずにいた空間だった。新しい商業施設を市場の外に建てたのではなく、古い市場の空いた場所に若い商い手を迎えた点が特徴だ。全州市の紹介では、イラストの絵葉書、独立系の出版物、手作りの小物、伝統の結びなどが取り上げられている。食品や生活必需品を買う一階に対し、二階では小さな創作や専門性を持つ店を探すという違いがある。掲載された体験が毎日実施されるとは限らないため、作品を見る日と制作体験に参加する日は分けて計画したい。
夜市のある日に訪ねて、全州川へ寄り道
2026年10月12日に確認した全州市の案内では、南部市場の夜市は金・土曜日の夕方から開かれる。夜市が目当てなら、曜日を合わせたうえで、訪問日の運営案内を確認しよう。昼の食堂巡りとは違い、並ぶ屋台を見て食べたい物を選ぶ時間が主役になる。 一度通路を見てから注文すると、最初の一軒で買いすぎずにすむ。二人以上なら分けて食べられる物を選び、熱い料理を受け取った後に落ち着ける場所も探しておこう。別々の列に並ぶ場合は、食べ物を持ったまま行き違わないよう、待ち合わせ場所を決めておきたい。 市場の南側には全州川が流れている。食事の後、晴れた日には川辺へ出てみると、店の並ぶ細い通路から視界が大きく開ける。長く歩くなら戻る橋を決め、短く過ごしたい日は、市場の近くで水の流れを眺めるだけでもよい。 大雨や増水で河川敷が閉じられているときは、上の道から眺めよう。夜は明るく道順のわかる範囲を歩き、バス停や宿へ戻る時間を残したい。 初めてなら、豊南門を見て市場で一食、青年モールをのぞいて川辺へ。夜市のある日は、昼に周辺の観光を楽しみ、夕方に再び戻ってもよい。食べたいものと見たい店から訪問時間を決めると、南部市場の昼と夜を自分のペースで楽しめる。 夜市とは別に、早朝だけに出会える市場もある。市が「トッケビ市場」として紹介するのは、南部市場前の全州川沿い、サジョンダリと梅谷橋の間に立つ農産物の市場だ。農家と消費者が直接やり取りする商いが中心で、昼の常設アーケードや夕方の食べ歩き屋台とは場所も役割も違う。朝に全州へ滞在している人なら、市場の一日を知る別の訪問先になる。 この川辺では橋の名前にも商いの記憶がある。「サジョン」は米を売る市場を指し、「梅谷」も穀物を売った場所に由来すると市は説明している。食後の散歩で橋を渡るだけでも、かつて農産物が集まった町の地理を読み取れる。早朝市、昼の買い物、夜市のすべてを一度に見ようとせず、食材を売る姿を見たいか、出来た料理を味わいたいかで訪問時間を選ぶとよい。 殿洞聖堂は市場の外にある立ち寄り先
豊南門周辺から韓屋村へ向かうなら、殿洞聖堂の外観も見どころになります。写真は2023年4月のもので、聖堂は市場の施設ではなく別の宗教空間です。ミサや行事の案内を尊重し、内部への立入りと撮影は当日の許可範囲をご確認ください。